11月28日の午前、世界のチップ代工のリーダーである台積電(2330.TW)の株価は下げが続き、ついに1000台湾ドルの大台を割り込んだ。記事執筆時点で、台積電の株価は998台湾ドルで、日中の下落率は0.2%、今週に入ってから4営業日連続で下落している。台積電の株価はこの1か月で約5%下落しており、今年に入ってから68%程度上昇しているものの、最近の動向は明らかに重い。
トランプ関税とチップ政策が台湾企業を直撃
アナリストによると、台積電と台湾株式市場の最近の調整は、トランプ氏が政界に戻った際に新たな関税政策を実施する可能性への懸念から来ている。選挙期間中、トランプは台湾がアメリカのチップ産業を「奪った」と批判し、「チップ及び科学法」に対する強い不満を公にし、「大惨事」と呼んでいた。この立場により、トランプが今後半導体政策を変更する可能性についての憶測が広がった。
27日のニュースでは、トランプの潜在閣僚である政府効率部(D.O.G.E)のラマスワミ氏がイーロン・マスクと共同で「チップ法案」を見直すと公言した。このニュースにより、将来のチップ法案の再調整の可能性への市場の懸念がさらに高まった。
さらに、トランプはメキシコに5%の関税を課す計画を立てており、この政策はメキシコに集中するAIサーバーのサプライチェーンに大きな影響を及ぼす可能性があり、組立工場が真っ先に影響を受ける。このため、台積電など関連するサプライチェーン企業も影響を受けるのではないかとの市場の懸念が生まれている。
台積電の最近の動向が影響を受ける
台積電は世界のチップ代工市場で無比のリーダー企業だが、11月の株価は芳しくない。台湾株式市場で最も大きな企業であるため、台積電の軟調は台湾株式市場全般に重圧を与え、市場の悲観的な感情を助長している。
年内の上昇は目覚ましいものの、台積電が直面する国際的なリスクや政策の変動の影響は無視できない。トランプが新たな関税政策を推進すれば、台積電および他の台湾企業の国際サプライチェーンでのコスト圧力が増し、その競争力が弱まる可能性がある。
不確実性が増す
今後の見通しとして、台積電の株価の動きは依然として国際政策環境の変化と半導体産業の全体需要によって左右される。もしトランプが関税政策を調整したり、「チップ法案」を再制定したりした場合、台湾の半導体産業の輸出および競争力がさらに挑戦を受ける可能性がある。加えて、世界経済成長の見通しと顧客需要の変動も台積電の経営にとって重要な変数となるだろう。
投資家はトランプ関連政策のさらなる動向に注意を払い、台積電が国際変動に対してどのように対処するかに注目する必要がある。短期的には、不確実性から市場は慎重を維持し、半導体セクターは継続的に変動する可能性がある。