HSBC銀行のアナリストは戦略報告で、「FRBが利下げ予想を減らすことは、ドルが一部の失地を取り戻す助けになるだろう」と指摘しています。彼らは、現在のドルの為替レートは基本条件に比べてかなり安いと見ています。
報告には、アメリカの利率予想という重要な基本条件の大きな変化について疑問が投げかけられています。投資家は現在、今後数ヶ月で大幅な利下げがあると広く考えています。
FRB議長のパウエルが最近の演説で、利下げの時期が成熟したと述べた後、ドルは大幅に弱くなりました。市場は、FRBが9月に50ベーシスポイントの大幅な利下げを行う可能性をますます認識しており、これは非危機時における異例の大幅な利下げです。
HSBC銀行のアメリカ外為戦略部門主管のダラ・マー(Daragh Maher)は、ドルの調整がすでに終わりに近づいている可能性があると考え、2つの主な理由を挙げています。
マーは、「まず、たとえ市場がFRB年内に100ベーシスポイントの利下げを予測していても、ドルはそのようなハト派的な利回り予想に対して依然として非常に弱いと見ています。次に、経済の後退の証拠が不足していることを考えると、50ベーシスポイントの利下げは“ソフトランディング”を実現する可能性が低く、アメリカのマクロ経済状況はこのような緩やかな政策スタンスを支持していません。これらの要素を総合し、ドル指数が2023年12月の低点に下がった事実に鑑み、我々はドルの見通しに対して楽観的です」と述べています。
ポンドは全体的な市場感情に非常に敏感であるため、HSBC銀行は、ポンドがドルに対して特に危険なリスクの一つは市場の売り圧力であり、これはFRBがインフレの再燃を懸念し、利下げサイクルに慎重に対処することに関連している可能性があるとしています。
HSBC銀行はさらに、「金利水準に対してポンドは強いパフォーマンスを示しており、この強さは主に市場のリスク嗜好と正の相関があります。金利とリスク嗜好の観点を考慮すると、ポンドはアメリカの利下げ予想の低下に対して特に脆弱です。全体として、ポンドは対ドルで1.30以上での上昇力に欠けており、現在は極端な持ち高ではないものの、それでも下落リスクが見られます」と述べています。
日本時間9月2日9:25現在、ポンドは対ドルで1.3130/31を記録しています。