インドの国防及び工業関係者4名の発言と、ロイター通信が閲覧した文書によると、安全上の懸念から、インドは近月、国内の軍用ドローン製造業者が中国製の部品を使用することを禁じました。
このインドの禁止措置が取られたタイミングは興味深いものです。一方で、核保有国である中印両国の関係は緊張状態にあります。他方で、インドは軍事近代化を進めており、ニューデリーは、タパスなどの無人操縦クアッドコプター、長時間飛行システム、その他の自律プラットフォームの使用を増やす計画です。
インドの新興ドローン産業が軍の要求を満たそうと努める中、前述の国防及び工業関係者は、インドの安全保障部門の指導者たちは、ドローンの通信機能、カメラ、無線伝送、操作ソフトウェアなど、中国製の部品が情報収集活動に影響を与えることを懸念していると述べています。
ロイター通信が入手した文書によると、今年2月と3月に開催されたドローン入札に関する2回の会議で、インド軍の幹部は、安全上の理由から、インドと国境紛争を抱える国からの機器や部品を受け入れないと潜在的な入札者に告げました。このインドの措置は、2020年以降のドローンに対する段階的な輸入制限を補完するものです。
インドのナレンドラ・モディ首相は、感知される脅威に対抗するため、インドのドローン能力を構築しようと常に努めています。インドは、2023-2024年度の軍事近代化のために1.6兆ルピー(197.7億ドル)の予算を確保しており、そのうち75%が国内産業に割り当てられています。
バンガロールに本拠を置くニュースペース研究技術社(NewSpace Research and Technologies)は、インド軍の小型ドローン供給業者であり、創業者のサミール・ジョシ氏によると、インドのドローンサプライチェーン内の製品の70%が中国製であり、中国製部品に対する禁止措置は製造者に他の場所から部品を調達するよう強いており、それがインド製軍用ドローンのコストを押し上げています。
ジョシ氏によると、中国製以外の部品の使用に切り替えることはコストを大幅に押し上げており、一部の製造者は依然として中国から原材料を輸入しているものの、それに「ホワイトラベル」を貼り、ある程度コストをこの範囲内で抑えるよう努めています。ポーランドの供給業者と話をすると、その業者の提供する部品もやはり中国からのものである可能性が高いです。
特定のタイプのドローンを製造するための重要な技術が不足しているため、インドは部品およびシステム全体で外国の製造業者に依存しています。ドローンエンジンは、インドのドローン技術が直面している最大の課題の一つで、国内で生産されている複数のエンジンはドローンの要件を満たしていません。
インド国立航空開発機構(ADE)のディレクター、Y・ディリップ氏は、政府資金によって支援される国産の中高度長時間滞空型無人システムプロジェクトが少なくとも5年遅れていると述べており、このプロジェクトではドローンが3万フィートの作戦高度に達し、24時間空中に滞在することが要求されています。
インドの自律無人プラットフォーム「タパス」はほとんどの要求を満たしていますが、軍の目標を実現するためにはさらなる作業が必要です。タパスのテストが今月開始される予定であるほか、ADEはステルス無人プラットフォームと高高度長時間滞空プラットフォームの開発を進めていますが、これらは数年かかる予定です。
国防システムにおける無人機のギャップを埋めるため、インドは6月に30億ドル以上の費用でアメリカからMQ-9無人機(リーパー)31機の購入を発表しました。
インド財務大臣のニルマラ・シタラマンは以前、今年の国防研究開発予算の2326億ルピー(28.3億ドル)の四分の一が民間企業に割り当てられることを約束していました。しかし、納期が長い、最終的に注文が得られないなどの要因により、インドの大手民間企業の軍事研究開発への投資は少ないです。
上述の状況に対して、インドのマノハール・パリッカル国防研究分析研究所の無人機専門家、R・K・ナラングは、技術的なギャップを埋めるためには一貫した国家戦略が必要であり、商業的に実行可能な製品を提供し、インドの製造業をサポートするためには、コストを受け入れる必要があると述べています。