英ポンドは今週、対米ドルで2年以上ぶりの高値を記録しましたが、市場アナリストは慎重な姿勢を示しています。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げがポンドの短期的な上昇を後押しした一方で、ストラテジストたちは、ポンドの上昇が続く可能性は低いと警告しています。ステート・ストリート・グローバル・マーケッツとJPモルガンプライベートバンクのアナリストは、今後数ヶ月の間にポンドに下落圧力がかかる可能性があると考えています。
英中央銀行はFRBの利下げ後も金利を据え置き、この決定が一時的にポンドを押し上げました。しかし、英経済の停滞と予想される厳格な予算により、市場はポンドの長期的な見通しに懸念を抱いています。ステートストリート銀行のマクロ戦略責任者Tim Graf氏は、ポンド対ドルの上昇は3〜6ヶ月以内に徐々に抑制される可能性があると述べています。
さらに、市場のポジションデータはヘッジファンドのポンドに対する強気な姿勢が歴史的な高水準に達していることを示しており、市場の混雑が将来のボラティリティリスクを増大させています。JPモルガンプライベートバンクのストラテジストMatthew Landon氏は、現在ポンドをさらに高値で買い追うリスクが高いと警告しています。
短期的にはポンドが1.35まで緩やかに上昇する可能性があるものの、長期的にはその上昇余地に対してストラテジストたちは慎重です。中央銀行の政策の影響で、ポンド取引の魅力は減少しつつあり、とりわけ英中央銀行の利下げがFRBの利下げを上回ると予想される中では一層そうです。財政政策の緊縮が進むにつれ、ポンドの将来の動向にはさらに多くの不確実性が存在するでしょう。