リビア東部政府は8月26日、「不可抗力」により全ての油田、港、石油施設における生産と輸出を停止すると発表し、トリポリ政府が中央銀行を掌握しようとする動きに応えました。リビアはアフリカで最も多くの石油埋蔵量を誇る国でありながら、2011年以来政局が不安定で、石油産業が打撃を受けています。今回の争いは中央銀行の支配権をめぐるもので、数十億ドルの石油収入の管理が関わっています。
シティのアナリストFrancesco Martocciaは、リビア経済が石油収入に強く依存しており、資金管理を掌握する者が経済の主導権を握ると指摘しています。この争いは派閥間の衝突の核心となっており、各派が自らの経済的利益を守ろうとしています。情勢が不安定化する中、軽質低硫原油の供給中断のリスクが高まり、ブレント原油の価格が1バレル80〜89ドルの範囲に上昇する可能性があります。
UBSのアナリストGiovanni Staunovoは、この状況が続く場合、現物市場は引き続き逼迫し、供給中断の期間を予測することは困難であると述べています。
同時に、中東情勢も緊迫しています。8月25日、レバノンとイスラエルが互いのターゲットを攻撃し、地域戦争への懸念が生じました。8月26日、イラン外相のアラグチはソーシャルメディアで、イランはイスラエルの「テロ行為」に対し確固たる計画的な対応を行うと発言しました。イランは緊張を恐れていませんが、状況の拡大も望んでいません。