スタンダード&プアーズ(S&P)がフランスの主権債務格付けを引き下げた決定は、短期的には金融市場への影響を超える政治的影響をもたらすだろう。
欧州連合議会選挙の数日前となる6月9日に、S&Pはフランスの長期主権債務格付けを「AA」から「AA-」に引き下げた。これは、フランスの赤字が予想以上に高くなり、ユーロ圏第2の経済大国の債務増加を招くと予測したためだ。
シティのアナリストは水曜日の報告書で、今回の格下げがフランスとドイツの基準国債の利回り差を3~5ベーシスポイント(bps)拡大させる可能性があると述べた。
これは比較的小さな影響であり、利回り差は約50ベーシスポイントに拡大し、2ヶ月前に政府が予算赤字見通しを引き上げた後の水準と大体同じになる。
今回の格下げにより、マクロン大統領の政府への圧力が増し、財政赤字削減計画を維持するために数十億ユーロの予算削減策を詳細に説明する必要が出てきた。
政府は4月に赤字見通しを引き上げた後、今年の経済産出の5.1%だった公共部門の予算赤字を来年には4.1%に減らし、2027年までにEUの規定の3%まで財政赤字を削減する計画を達成することを目指している。
S&Pは、フランスが2027年の目標を達成できないと予測し、その時点での赤字はGDPの3.5%を占めると予測している。
国際通貨基金(IMF)と国家公共財政監督機関もこの目標の実現可能性を疑問視しており、政府に対して約束された予算削減策を詳細に説明するよう促している。
政府は、今年の赤字目標を達成するためには、2024年の予算法に含まれていない20億ユーロ(約22億ドル)の予算削減が必要だと述べている。
その一部は省庁の支出凍結、開発援助の削減、予備費の減少、地方政府のさらなる緊縮策から得られる予定だと述べている。
しかし政府は、特に明年に必要な更なる20億ユーロの削減詳細を説明するよう具体的な圧力に直面している。