債務収入比とは?
債務収入比(Debt to Income Ratio、略称DTI)とは、個人または家庭の毎月の債務支払額と総収入との比率を示す財務指標のことです。債務収入比は、借り手が十分な収入を持ち、債務を返済する能力があるかどうかを評価するために使用されます。特に住宅ローンや大口の借り入れを申請する際、銀行や貸金機関はこの比率を参照して借り手の信用リスクを判定します。
債務収入比は、個人または家庭の債務返済能力と負債水準を反映します。一般的に、債務収入比が低いほど、債務返済能力が高く、負債の負担が少ないことを意味し、融資を受けやすく、金利も低くなりやすいです。異なる貸金機関によって要求される債務収入比は異なる場合がありますが、通常、36%以下が健康的な範囲とされ、43%以上は信用評価や融資申請に影響を及ぼすことがあります。
債務収入比の種類
債務収入比は、貸金機関が借り手の返済能力と信用リスクを評価する重要な要素で、以下の2種類に分けられます。
- 前端債務収入比(Front-End DTI):住宅関連の債務(住宅ローン、管理費、住宅保険など)が月収に占める割合を指し、通常28%を超えないことが推奨されます。つまり、住宅関連の支出が月収の28%を超えてはいけません。
- 後端債務収入比(Back-End DTI):すべての債務(住宅関連を含む、クレジットカード、学生ローン、自動車ローンなど)が月収に占める割合を指します。後端比は通常36%を超えないことが推奨されます。つまり、すべての債務支出が月収の36%を超えてはいけません。
債務収入比の内容
債務収入比は、個人または家庭の債務返済能力を評価するために使用され、以下の2つの要素が含まれます。
- 債務:借り手の現在の借金負担、例えば住宅ローン、車のローン、クレジットカードの債務、学生ローンなどを含みます。銀行や貸金機関は通常、借り手の全ての債務を考慮して、その債務負担を全面的に評価します。
- 収入:借り手の総収入、例えば給料、投資収益、賃貸収入などを含みます。債務収入比は、借り手の債務を総収入と比較し、借り手が債務を返済するのに十分な収入を持っているかどうかを判断します。
債務収入比の役割
債務収入比は、個人または家庭の債務レベルと返済能力を反映し、ローン申請や信用に影響を与えます。
- 返済能力の評価:借り手および貸金機関が借り手の返済能力を評価するのに役立ちます。債務と総収入を比較することで、借り手が債務を返済するのに十分な収入を持っているかどうかがわかります。
- ローン承認の基準:ローン申請時に、債務収入比は銀行や貸金機関が融資申請を承認するかどうかの重要な指標の一つです。
- 過度な負債の防止:借り手が過度な負債を避けるのに役立ちます。債務収入比が高すぎる場合、借り手の債務負担が多すぎることを示し、ローン申請が拒否されるか、より不利な融資条件を受ける可能性があります。
- 財務計画:個人または家庭の財務計画の重要な参考指標です。債務収入比を管理することで、借り手はより良い財務計画と管理を行い、健全な財務状況を維持することができます。
債務収入比の影響要因
個人や企業の収入、債務、資産、信用などが債務収入比に影響を与えます。以下は債務収入比に影響を与える一般的な要因です。
- 債務水準:借り手の債務水準は債務収入比に直接影響を与えます。債務が多いほど、債務収入比は高くなります。
- 収入水準:借り手の収入水準も債務収入比に影響します。収入が高いほど、債務収入比は低くなります。
- ローンの種類:異なる種類のローンが債務収入比に与える影響は異なります。例えば、住宅ローンなどの長期ローンは債務収入比への影響が小さく、クレジットローンなどの短期ローンは債務収入比への影響が大きいです。
- 利率:ローンの利率も債務収入比に影響します。高金利は借り手の返済負担を増加させ、債務収入比を高めます。
- 家族の状況:家族の人数、家計支出、および他の財務責任が債務収入比に影響を与えます。家計支出が多いほど、債務収入比は上昇する可能性があります。
- 借り入れの用途:債務収入比は借り入れの用途によっても影響を受けることがあります。例えば、事業運転資金としての借り入れは、個人的な消費ローンとは異なる影響を与える可能性があります。
後端債務収入比と前端債務収入比の違い
後端債務収入比と前端債務収入比は、いずれも借り手の返済能力を測る財務指標ですが、計算式において考慮される要素が異なります。
- 後端債務収入比:借り手のすべての債務支出、住宅ローンを含むすべての債務を考慮します。
- 前端債務収入比:借り手の住宅関連の支出、主に住宅ローンと住宅保険だけを考慮します。
債務収入比の計算方法と例
債務収入比は、毎月の債務返済額を毎月の総収入と比較することで、個人または家庭の財務状況を測る指標です。計算方法は次の2種類に分けられます。
- 前端債務収入比= (住宅関連の債務返済額 / 毎月の総収入) x 100%
- 後端債務収入比= (すべての債務返済額 / 毎月の総収入) x 100%
例
例えば、張さんの毎月の総収入が10,000元の場合、月に3,000元の住宅ローン、500元の管理費、200元の住宅保険、1,000元のクレジットカード分割払い、500元の学生ローン、および1,000元の自動車ローンを支払う必要があるとします。この場合、張さんの債務収入比は次のようになります。
前端債務収入比= (住宅関連の債務返済額 / 毎月の総収入) x 100%
= (3000 + 500 + 200)/10000 x100%
= 37%
後端債務収入比= (すべての債務返済額 / 毎月の総収入) x 100%
= (3000 + 500 + 200 + 1000 + 500 + 1000)/10000 x100%
= 62%
この例からわかるように、張さんの前端および後端債務収入比はともに一般的に考えられている合理的な範囲を超えています。これにより、新たなローンの申請やローンの借り換えに影響を及ぼす可能性があります。張さんは債務水準を下げるか、収入水準を上げることを考慮し、債務収入比を改善する必要があります。