不動産評価サービスウェブサイトのZillowが最新の賃貸指数(ZORI)で示したところによると、6月から7月にかけてのアメリカの住宅市場の賃貸料は10%または0.5%上昇し、全国平均の賃貸料は2,062ドルに達し、前年同期比で3.6%高くなった。データは、昨年2月に16.2%の増加を記録して以来、賃貸料の年間成長率が17ヶ月連続で減速していることを示している。
7月の0.5%の賃貸料増加は、前年の7月の1.0%や2021年7月の2.0%を大きく下回るものの、8ヶ月連続で平均水準以下かそれに等しい増加率を記録した後で、平均より高い増加率を示したのはその時期が季節的な要因によるものなのか、あるいは賃貸料が再び上昇し始めたのか、さらなるデータを見るまでは確かめることは難しい。
データによると、今年の最初の7ヶ月で賃貸料は累計で2.9%上昇し、2020年7月までの歴史的平均累計増加率3.9%を大きく下回った。さらに、6月には季節調整後の建設中の多世帯住宅が記録的な97.7万戸に達した。これら主に賃貸用のアパートメントが今後1〜2年で市場に出ることで、住宅市場の供給が増え、既存の賃貸料の上昇を抑えることになる。一方、賃貸住宅の空室率も近30年で最低水準から上昇を始めている。
しかし、今後長期にわたり、賃貸市場は高い需要を維持する可能性がある。一方で、米国の高インフレ圧力は、大規模な消費支出を引き続き圧迫するだけでなく、アメリカ連邦準備制度が緊縮政策をより長く維持することを支持する。一方、高い住宅ローンのコストが住宅売買を抑制し、データによると、第2四半期の成熟住宅及び新築一戸建ての年間化売買はわずか500万戸であった。
今年6月、アメリカの最大の50都市の中で家賃の上昇率が最も高かったのは、ファーゴ(1.4%)、バージニアビーチ(0.8%)、ワシントンD.C.(0.8%)、バーミンガム(0.8%)、そしてニューヨーク市(0.8%)であった。一方、家賃の上昇率が最も低かったのはアトランタ(変化なし)、メンフィス(0.1%)、リバーサイド(0.1%)、オースティン(0.1%)、そしてサンアントニオ(0.1%)であった。しかし、ハートフォード(7.0%)、プロビデンス(6.5%)、ボストン(6.5%)、シカゴ(6.0%)、そしてセントルイス(5.7%)が年間の家賃の上昇率が最も速かった。
テクノロジー業界の採用の弱さやリモートワークなどの影響で、西部地域を中心に家賃の年間増加率が最も低かった。前年同期比で、ラスベガスは2.3%下落、オースティンは1.8下落した。一方で、フェニックス、シアトル、サンフランシスコの家賃の上昇率はそれぞれ0.1%、0.5%、0.6%であった。
Zillowのデータによると、家賃が最も高い都市にはニューヨーク市が3,445ドル、サンノゼが3,425ドル、サンディエゴが3,205ドル、サンフランシスコが3,188ドル、ボストンが3,024ドルで、ニューヨーク大都市圏がZillowのデータで初めて首位になった。また、ZillowのニューヨークブランドであるStreetEasyのデータによると、7月のニューヨークの家賃中央値は史上最高の3,799ドルに達した。
米国労働省が木曜日に発表した最新のCPIデータによると、CPIの家賃部分の年間増加率は5月の8.66%から6月には8.33%に低下し、月間増加率は5.8%前後で保たれたが、CPIの他の構成要素の6月の増加率が前年同期の10.8%から1%以下に降下したことは、家賃のコストが引き続き全体のCPIに強い支持を提供していることを示している。