市場回顧
市場焦点
中国市場
1、中国人民銀行総裁からの重要な発言
国務院の委託を受けて、中国人民銀行の潘功胜総裁は第14期全国人民代表大会常務委員会第6回会合において、2022年第4四半期以降の金融活動に関する報告を行った。報告では、引き続き安定的な金融政策を実施し、金融監督を全面的に強化・改善し、金融改革と国際開放をさらに深化させ、金融リスクを積極的かつ慎重に回避し解決し、金融市場の安定運営を確保する六つの面について言及している。
2、先週、中央銀行の公開市場操作による純資金投入が1兆円を超える
最近、政府債の供給規模が大きく、税期が近づき月内の流動性ギャップが大きくなっている。このため、税期のピークや政府債の発行などの影響を相殺するため、中央銀行は資金投入を増加させ、今週の純資金投入合計は1兆770億円に達した(MLF+逆回購を全て含む)。具体的には、中央銀行は先週の月曜日から水曜日にかけて逆回購による資金投入は少なかったが、木曜日から逆回購資金の投入規模を増やし始めた。先週の金曜日には、中央銀行は公開市場の純投入規模を7330億円に引き上げ、記録的な新高を更新した(下図)。
海外市場
1、2023年度の米国予算赤字が20%急増
米国財務省は、2023会計年度(9月30日締め)の収入と支出の報告を発表した。2022会計年度と比較して収入の減少が支出の減少を大幅に上回ったため、米国連邦政府の財政赤字は1.7兆ドルに拡大し、記録上第三位の赤字になり、該当財年の国内総生産(GDP)の6.3%に相当した。データによれば、2023会計年度の米国政府の予算赤字は約3200億ドル増加し、前年比で23%増加した。前回2022会計年度の赤字は1.38兆ドルで、当時のGDP比率は5.4%だった。(下図)
2、FOMC来年の投票委員は2024年末まで利下げしないと言及
アトランタ連銀の総裁、博斯蒂ック氏は、米連邦準備制度が2024年末に初めて利下げを行うと予想している。彼は、利率が「十分に厳しい」レベルに達しており、これ以上の引き上げは必要ないと述べた。しかし、米連邦準備制度は、2%のインフレ目標に到達する前に、インフレ進展と経済の減速に関して多くの作業が残っていると彼は指摘した。博斯蒂ック氏は、2024年末までに連邦準備制度が利下げを検討する可能性があると予想している。
3、米株と米国企業債は「利率ショック」を逃れなかった
連邦準備制度による金融引き締め予想と米国債の供給増などの影響で、米国債利回りが急騰し続けている。10年物米国債を「グローバル資産価格のアンカー」と称して新高水準を更新し、これが全世界のリスク資産に明らかな抑制効果を及ぼした。また、利回りの上昇と米国債のプレミアムの増加は、企業や個人の信用コストを高めることになる。米国の長期債利回りが急騰する中で、短期債の利回りの上昇幅は比較的小さく、「熊の急勾配」が現れ、これは市場が長期の経済成長に対して誤った価格設定をしていたこと(成長の減速ペースと景気後退への懸念)を示し、リスク資産に圧力をかけている。
4、ロシアは天然ガス生産者に対する追加税「移転支払い」を検討中
関係者3名からの最新情報によると、ロシア政府は、国内の炼油所への全額補助金を再開するための資金を提供するため、天然ガス生産税の追加課税を検討しているが、増税に関する最終決定はまだ下されていない。報告されるところによると、ロシア政府は国家予算に緊張をもたらすことなく国内燃料市場を支援する目的で、国内天然ガス産業に対する税負担を高めることを検討している。増税は国有の天然ガス巨大企業であるロシア天然ガス工業(Gazprom、略称「ロシアガス」)のみを対象とする可能性もあれば、他のロシアの天然ガス生産者も含む可能性がある。
来週の注目
来週、投資家は欧米の製造業PMI、オーストラリアのCPI、ドイツの小売売上げと就職市場レポート、米国の第3四半期GDP、コアPCE物価指数、新規失業保険申請件数、ミシガン大学の消費者信頼感指数などの経済データに注目すべきである。さらに、パレスチナとイスラエルの状況、カナダ中央銀行、欧州中央銀行の金利会議および中央銀行総裁の記者会見も重要な注目点である。